- 野球の試合結果を見ていたのですが、自責点って何ですか?
- 失点との違いが分かりません
- 調べてみたのですが、規則が複雑で分かりません。
NPB(プロ野球)の情報や、公認野球規則を使って分かりやすく解説していきます。
本記事を読むことによって、自責点に対する基本的な考え方を、例を出して分かりやすく紹介します。
また少し難しい自責点のルールも、分かる内容となっています。
最後に、自責点に関するランキング記録も合わせて紹介します。
それではさっそく本題に入りましょう。
【概要】自責点とは
公認野球規則9.16には、以下のように書かれています。
自責点とは、投手が責任を持たなければいけない得点である。
引用 公認野球規則9.16
かんたんに言うと、投手が原因で入った点です。
対象記録
- 安打
- 犠牲バント
- 犠牲フライ
- 盗塁
- 刺殺
- 野手選択(フィルダースチョイス)
- 四球(故意選択も含む)
- 死球
- ボーク
- 暴投(ワイルドピッチ)振り逃げも含む
により得点が入った場合は、自責点の対象です。
含まれない記録
- エラー
- 捕逸(パスボール)
- 打撃妨害・走塁妨害
上記のように味方のミスで点が入った場合は、自責点ではありません。
分かりづらかったり、難しいのはエラーで出たランナーですね。
- エラーで出塁したランナーが点になる
- エラーで点が入る
このような時は、自責点になりません。
※具体的な事例は、後ほど紹介します。
かんたんな覚え方
自責点が難しいと感じたら、以下のように考えると分かりやすい。
得点が入った時に
- ランナーがいた場合は、誰の責任で出塁したランナーなのか?
- 点が入った時に、エラーやミスがなかったか?
を考えると、分かりやすい。
失点と自責点の違い
失点とは投手の責任に関係なく、相手に入れられた点です。
相手チームの得点=自チームの失点
投手ですと、自分が投げているときに、入れられた得点。
得点の理由は関係なく、仮にエラーで失点しても、投げていた投手は失点1となります。
ランナーを出して投手交代した場合も、基本的にはランナーを出した投手に失点がつきます。
後程例で説明します。
大切な理由【防御率と計算式】
防御率に関係しているからです。
投手の責任以外(味方のエラーやミス)で点が入ると、純粋な投手の成績が分かりません。したがって自責点が大切で、防御率にも関係します。
防御率の計算式
防御率=自責点×9÷投球回
投手の防御率は、自責点で決まります。失点ではありません
したがって、エラーまで自責点に含めてしまうと、投手と関係ないプレーで防御率が変わってしまいます。
「他人のミス」で自分の成績が変わってしまうのは、おかしいということです。
プロで防御率が変わると、年俸も変わります。
お金に関わってくるので、大切な数字です。
ここから、自責点の基本を実例で解説します。
自責点の基本的な考え方【実例つき】
大切なので、もう1度。
投手が原因の点→自責点
味方のエラー、ミスが原因の点→自責点0(失点のみ)
試合成績をみると、「失点3、自責点0」といったデータをみる機会があると思います。
どうして「失点3、自責点0」のようになるのか、説明します。
基本ルールは、以下の2つ
・3アウトを取る機会を得た後の失点は、自責点にならない
・味方がミスをした場合の点は、自責点にならない
かんたんに言うと「ミスしなければ、スリーアウトになって0点で終わっていたよね」ということです。
3アウトで終わっていたと判断する
ちょっと分かりづらいので、例で紹介します。
例
2アウトランナー無し
↓
ゴロを内野手がエラーしてランナー1塁
↓
次の打者にホームラン
この場合
自責点:0
失点:2
理由は、失策しなければ、3アウト無失点で終わっていたから。
仮に複数のホームランがあっても、自責点はありません。
実際にホームランを打たれているので、おかしいとなりそうですがこのように決まっています。
味方のミス(エラー等)が原因の失点
次の理由で打者が一塁を得た後、得点することがあっても、自責点とはならない
- ファールフライ落球後のランナー
- 妨害、走塁妨害ででたランナー
- 野手のエラーで出たランナー
例で説明します。
例①ファールフライ落球後のランナー
2アウトで野手がファールフライを落とす
↓
次の球をヒットでランナー1塁
↓
次打者に3塁打で得点1
この場合
自責点:0
失点:1
理由 ファールフライをとっていれば、ランナーの出塁はなく3アウトになっていたから。
ファールフライがエラーとなった場合のみです。
例②妨害、走塁妨害ででたランナー
ランナー3塁
↓
・内野ゴロでエラー
・パスボール等
↓
得点が入る
この場合
自責点:0
失点:1
理由 エラーやパスボールが原因で得点が入ったため
例③野手のエラーで出たランナー
ランナー無し
↓
ショートのエラーでランナー1塁
↓
次打者に3塁打
このケース
自責点:0
失点:1
理由 エラーで出たランナーが得点したため
エラーが原因の点なら自責点になりません。
以上が基本的なルールです。
ここからは、いろいろなケースをみていきます。
エラーが絡んでも自責点になる場合
エラー、パスボール、打撃妨害、走塁妨害が原因で失点した場合は、「守備側にミスが無くても得点が入った」と記録員が決定したときは、自責点になります。
分かりづらいので、例で紹介します。
例
1アウト3塁の場面(3塁打で出塁)
↓
ショートゴロ(ショートエラー)
↓
3塁ランナーは、速いスタートで得点
この場合
自責点:1
失点:1
理由は、エラーがなくても得点が入ったと、記録員が判定したから。
「エラーに関係なく投手の責任で点が入った」と公式記録員が認めると、自責点がつくこともあります。
他にもいろいろな場面があります。
ある意味、エラーや自責点に関するルールは、公式記録員が決めているといっても過言ではありません。
イニング途中での投手交代と自責点・失点
終盤の投手交代や、ワンポイントリリーフの場面です。変わった投手が打たれて、失点するシーンを想像して下さい。
基本的にはランナーを残した、前任者の自責点となります。
例
投手Gが四球でランナーをだして降板
↓
救援の投手Fがタイムリーを打たれる
この場合はランナーを出したG投手の責任。
G投手:自責点1 失点1
F投手:自責点0 失点0
仮にG投手がエラーでランナーをだした場合
G投手:自責点0 失点1
となります。
ランナーが入れ替わった場合
例
①投手Sがヒットを打たれ一塁
↓
②投手交代、投手W
↓
③セカンドゴロで2塁封殺アウト
1死一塁
↓
④次の打者にホームラン
この時の自責点
投手S :自責点1
投手W :自責点1
理由
ホームに返ってきたランナーは、2人とも投手Wが出したランナーですが、以下のように考えます。
【投手S】
③のセカンドゴロで、1塁ランナーが入れ変わりました。しかし最初のランナーを出した責任は、投手Sにあります。したがって、投手Sの自責点は1。
【投手W】
ホームランを打たれたのは、投手Wの責任。したがって投手Wの自責点は1
投手の人数が増えても変わりません。
※例外もあり。難しいので詳しくは公認野球規則を参照。
複数の投手が投げる場合の特例
イニングの途中で投手が交代した場合は、交代後の投手については、エラーやパスボールによるアウトの機会の恩恵を受けることはできない。
分かりづらいので、例です。
例
①投手A 2アウト1、2塁の場面
↓
②3塁ゴロ、3塁手がエラーで満塁
↓
③投手交代でB投手になる
↓
④満塁本塁打を打たれる
この場合の自責点
投手A :自責点0
投手B :自責点1
【理由】
投手A:3塁エラーがなければ、3アウトで交代となっていたため
投手B:本来は、自責点0となりそうですが、特例で自責点1。
詳しい理由は以下。
②までのランナーに対して、自責点はつかない。
③以降に出たランナーは、自責点の対象。この場合、ホームランなので自責点1がつく。以降点を取られると、自責点の対象。
このルールにより、チームの自責点と、投手の自責点の数字が違うこともあります。
上記の場合だと、チーム自責点は0だが、投手Bは自責点1となる。
投手自身がエラーした場合
投手自身がエラーした場合
野手のエラーと同じ扱いになります
公認野球規則9.16(e)は、以下のとおり
投手の守備上の失策は、自責点を決定する場合、他の野手の失策と同様に扱って、自責点の要素からは、除かれる。
引用 公認野球規則9.16(e)
上記の通りで投手のエラーは、自責点に含まれません。
投手自身のエラーで出塁
↓
そのランナーが返ってきても失点1自責点0
不思議ですが、このようになっています。
自責点は投球の成績で、投球が終われば投手は野手の一員とみられるからです。しかし投手自身のエラーが自責点に含まれないのは、おかしいといった意見もあります。
ワイルドピッチとパスボール
冒頭で説明したとおりですが、ワイルドピッチは自責点になります。
ワイルドピッチは、投手の暴投を意味するので投手の責任です。すなわち自責点になります。
【例】
ランナー1塁(単打で出塁)
↓
ワイルドピッチ(ランナー2塁)
↓
単打で失点
↓
1塁ゴロ(アウトでチェンジ)
この場合は、自責点がつきます。
他にもいろいろ考えられる場面があります。
ちなみにパスボールは、捕手のエラー(ミス)なので自責点に含まれません。
打席の途中で投手が変わった場合
打席の途中で投手が変わった場合、を考えてみます。
カウントが以下の場面で投手交代。
四球になると、最初に投げていた投手の責任になる。
ボール | ストライク | |
---|---|---|
カウント | 2 | 0 |
カウント | 2 | 1 |
カウント | 3 | 0 |
カウント | 3 | 1 |
カウント | 3 | 2 |
四球以外(ヒット、エラー、野手選択、封殺、死球)で1塁に出たら、救援投手の責任。
以下の場面で投手交代した時は、全て救援投手の責任になる。
ボール | ストライク | |
---|---|---|
カウント | 2 | 2 |
カウント | 1 | 2 |
カウント | 1 | 1 |
カウント | 1 | 0 |
カウント | 0 | 2 |
カウント | 0 | 1 |
日本とメジャーの自責点の違い
日本とメジャーリーグの違いです。
日本では得点が入った時に、自責点かどうか判断します。それに対し、メジャーではイニングが終了するまで決定が保留されます。
メジャーでは、その回をトータルで振り返り、自責点がつくのか検討します。
例
ランナー3塁で、捕手がパスボール
日本の場合=自責点0
失点したときに、自責点が0が確定。
メジャーの場合=イニングが終わるまで、保留。
次打者がヒット→自責点1
次打者がアウト→自責点0
パスボールがなくても、ヒットを打たれ点が入ったとみなすから。
自責点のスコアの書き方
スコアブックに自責点は、どのように書くのか紹介します。
自責点がつく場合
自責点がつかない場合
ここからは、自責点に関する記録の紹介です。
【まとめ】自責点とは
基本的な考え方は、分かっていただけたでしょうか?
もう一度確認すると
- 安打
- 犠牲バント
- 犠牲フライ
- 盗塁
- 刺殺
- 野手選択(フィルダースチョイス)
- 四球(故意選択も含む)
- 死球
- ボーク
- 暴投(ワイルドピッチ)振り逃げも含む
上記なら自責点の対象
- エラー
- 捕逸(パスボール)
- 打撃妨害、走塁妨害
は自責点。
基本ルールは味方のミス(エラーなど)で点が入った場合、ミスが絡んだ失点がある場合、自責点にならない。
1イニングに複数の投手が投げている場合は、以下のように考える。
得点が入った時に
- ランナーの出塁は、誰が原因のなのか?
- なぜ得点が入ったのか?
を考えると、分かりやすい。
もっと複雑な場合は公認野球規則を読むことをおすすめします。
その他の野球のルールについては【保存版】野球初心者にもわかりやすい野球用語一覧でまとめています。
野球観戦の参考にしてもらえたらと思います。