敗戦処理投手の役割4選が分かるとより野球が楽しくなる!【敗戦処理投手について徹底解説】

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【重要】敗戦処理投手の役割4選!敗戦処理で有名な投手も紹介

本記事で分かること

  • 敗戦処理投手の役割と意味
  • 敗戦処理投手の気持ち
  • 敗戦処理投手で有名な投手
  • 野手が登板した例

まず結論ですが、敗戦処理投手は大切な役割があります。
なぜ大切なのか、詳しく説明していきます。

本記事を読むことによって

敗戦処理投手はどんな役割があって、なぜ重要なのか?
敗戦処理投手の気持ちや選手のエピソード、野手で登板した選手も合わせて紹介します。

それではさっそく、本題に入っていきましょう。

敗戦処理投手とは

敗戦処理投手とは

負けている大差の試合で投げる投手を、敗戦処理投手と呼びます。

敗戦処理投手は、英語で「mop up man」モップアップマンまたは「mop up pitcher」モップアップピッチャー

"mop"は掃除で使うモップです。
そして"mop up"はモップを使って「ふき取る」や「仕事を完了させる」というような意味です。

後始末をする清掃員のイメージです。

主力級の中継ぎ投手や抑え投手を温存するために、若手投手や間隔の空いている投手、ベテラン投手を調整のため登板させることです。

「らくそう」という声を聞きますが、敗戦処理投手には重要な役割があります。

敗戦投手処理投手は重要

千葉ロッテマリーンズの吉井投手コーチも、以前のインタビューで以下のように話していました。

「【敗戦処理】って書かれてしまうけれども、けっこう重要な役目。あそこを誰かがやらなければいけない。1試合の中でもそうなんですが、長いシーズンを考えると、ブルペン陣、特にシーズン後半の疲労を考えると、あのポジションの投手が絶対必要になる」と指摘。

そして「【すごい敗戦処理】もブルペンの中では、重要なピースだということをわかってもらいたい」と重要性を説いた。

引用 フルカウント

このように話しています。
もう少し深堀りします。

敗戦投手処理投手の役割4選

敗戦投手処理投手の役割4選

敗戦処理といっても、いろいろな役割や状況があります。

  1. 試合を消化させる(成立させる)
  2. 主力投手(先発、中継ぎ)の疲労を軽減させる
  3. 1軍昇格直後なら、テスト登板
  4. 調整登板

詳しくみていきます。

①試合を消化させる(成立させる)

見ていて残念になりますが、長いシーズンでは大差の試合がどうしてもあります。

そんな試合の時に「あきらめました。7回で試合をやめます」とは、できないですよね。「お金返せー」と暴動が起きそうです。

使いたい投手がいなかったら、野手を登板させたいわけですが、冒頭の通り賛否ありました。

そこで試合を成立させるために、敗戦処理投手が必要です。

何となく、試合をまとめてくれる投手。大差なのにもっと点を取られたら、ファンが怒ってしまいます。

序盤だったら、「勝ちパターンの投手は使いたくないけど、点数が離れないであわよくば追いつけるかも」と思わせるような投球が必要です。

②主力投手を(先発、中継ぎ)の疲労を軽減させる

①と似ていますが、投手の肩は消耗品です。

「投手は、休みながら投げましょう」というのが常識になってきました。

どんなにいい中継ぎ投手でも、毎日投げられません。ですので大差で負けているときは、言い方は悪いが、「ショボい投手で、主力を休めよう」となるわけです。

ただ主力投手を休養させるためには、重要な選手です。

③1軍昇格直後なら、テスト登板

1軍初昇格や久しぶりの1軍となれば、監督としても、いきなり1-1の場面で投げさせるのは勇気がいります。

監督、選手どちらからみても「まずは1軍に慣れる」のほうが大切です。

敗戦の責任もありませんし、のびのびと投げることができます。実際は、どうなのか分かりませんが。

大差の場面で使ってみて、好投したら「接戦で使ってみよう」となるわけです。

④調整登板

主力投手がケガから復帰した時や、中継ぎ投手の登板間隔があいているので、「慣らし」で「1イニング投げてみよう」ということです。

もともと実力のある投手が投げるわけですから、結果は求められません。

結果よりも投球の感覚を確認したり、登板間隔を空けすぎないようにする役目があります。

敗戦処理投手は重要

一言で敗戦処理といっても、いろいろな状況があります。

4点を見てきましたが、長いシーズンで優勝を目指すためには、敗戦処理投手も重要となりませんか?

誰かがやらなければいけないポジションで、進んで志願する投手はいないと思います。しかし与えられたポジションで結果を残すのが、プロの仕事です。

たとえ大量点をとられても、イニングを消化するという目標であれば、点数は関係なくイニングを消化させたことに価値があります。

野手の登板については、賛否が分かれていますが、投手を休ませるために必要と思っています。

ちなみに敗戦処理だけでなくリリーフ投手全般の役割もまとめています。

よかったら【必見】リリーフ投手(中継ぎ、抑え)の種類と役割とは?をご覧ください。

ここからは、敗戦処理投手の気持ちを考えてみます。

私自身、プロ野球選手ではないので、岩隈久志投手の»感情をコントロールする技術という本に敗戦処理投手について、興味深い内容が書かれていたので紹介します。

敗戦処理投手の気持ちやモチベーション

敗戦処理投手の気持ちやモチベーション

岩隈投手は、2012年メジャー1年目の前半、調子が上がらずロングマンと言われる敗戦処理を担当しました。

※ロングマンとは、試合前半で大差がついたときに投げる、敗戦処理投手のこと。

この時のことを、以下のように話しています。

ロングマンでいくと言われた時は、すぐに理解できず「何で俺が中継ぎなんだ」としばらくの間、納得出来なかった。

しかし気持ちを切り替えて、「未知のことから、いろいろと学んでやろう」と思ったそうです。

その後の活躍は、知っての通りで今年引退しました。

誰でも納得するのに時間は、かかります。
一流であればなおさらです。

しかし、状況を受け入れて、「結果を出すためにベストを尽くす」という選手がほとんどです。現に「敗戦処理だから、やる気ない」といった投手を見たことがありません。

いたらごめんなさい。

敗戦処理で有名な投手

敗戦処理で有名な投手

失礼な見出しなので、先に謝っておきます。すいません。

ですが面白そうなので、調べてみました。
個人の感想なので、あしからず。

小宮山悟

正確なコントロールが武器の投手で「投げる精密機械」と呼ばれたこともあります。

現役生活の晩年である2005年、自ら敗戦処理をかって出て、チーム31年振りとなるリーグ優勝、日本一に貢献します。敗戦処理だけでなく緊迫した場面での登板など、あらゆる場面で登板しています。

この年以降は、自軍が大量リードされているロングリリーフが中心となりました。

このようなチーム起用にプライドから異を唱えるベテラン投手もいる中で、小宮山は自分の役目を淡々と担っていました。

高木京介

野球賭博問題で有名になってしまいましたが、育成契約から支配下登録、敗戦処理と着実に力をつけています。

デビューから164試合連続無敗記録を持つ。2018年までの成績をみると、6勝0敗27ホールド、1セーブです。かなりの数字と思いいきや

高木が登板した試合の多くはリードを許した展開のもので、敗戦処理としての登板が多くなっています。

1年目を除くと2018年までは、敗戦処理での登板のイメージが強かったが、2019年から数字が良くなっているので、敗戦処理としてのイメージは少なくなっているかもしれません。今後の活躍に期待です。

小松聖

もともとは、1995年のパ・リーグ新人王で第2回WBCの日本代表に選ばれるなど実力者でしたが、プロ野球では短命で終わった選手といえるかもしれません。

特に2012年から2013年にかけて敗戦処理として活躍しました。

2012年は12試合のロングリリーフで1勝3ホールド、防御率2.21と結果を残したが、9度の先発では2勝5敗、防御率6.14と結果を残せませんでした。

2013年は、敗戦処理としての登板が続き27試合で防御率4.35に終わりました。

敗戦処理として成功したわけではありませんが、一時代を築いた選手といえます。

真田裕貴

筆者の印象では、もうひと伸びできなかった投手です。

特に横浜時代の2009年は、敗戦処理からセットアッパーまでこなし、自己最多となる68試合に登板して防御率2.98、19ホールドと自己最高の成績を収めました。

この時代の横浜は、暗黒時代で万年最下位争いをしているチームにあって、登板数も多く頑張っていた中継ぎ投手の一人です。

敗戦処理投手もプロの技

共通することは、与えられたポジションで役割をはたしていることです。当たり前ではありますが。

特に小宮山投手は、敗戦処理でありながら日本一に貢献しています。勝ちや負けだけがチームへの貢献ではありません。

敗戦処理は、投球回ぐらいしか記録として残りません。
数字だけではない、野球の魅力です。

ちなみに敗戦処理だけでなくリリーフ投手全般の役割もまとめています。よかったら【必見】リリーフ投手(中継ぎ、抑え)の種類と役割とは?をご覧ください。

投手が投げた例だけではなく、野手が登板した例を調べてみました。

野手が登板した例

野手が登板した例

敗戦処理投手とは、限りません。
野手登録で登板した選手の一覧です。

敗戦処理とファンサービスで登板した選手は、増田、デストラーデ、五十嵐の3人かなと思っています。

間違っていたらすいません。

ちなみに五十嵐選手は、全ポジションで出場しています。

※大谷翔平は除く

選手名所属球団登板日対戦相手
増田 大輝巨人2020.8.6阪神
五十嵐 章人オリックス2000.6.3近鉄
ペルドモ広島1999.6.27巨人
嘉勢 敏弘オリックス1997.4.29ダイエー
嘉勢 敏弘オリックス1997.4.18日本ハム
デストラーデ西武1995.5.9オリックス
長谷川 一夫クラウン1978.7.11日本ハム
大隅 正人阪急1977.7.31日本ハム
大隅 正人阪急1977.7.17日本ハム
高橋 博士日本ハム1974.9.29南海
スミス南海1972.5.16阪急
スミス南海1972.5.3ロッテ
広瀬 淑功南海1970.10.14阪急
ニューク中日1962.10.9大洋
ルイス毎日1954.4.8南海
野草 義輝巨人1949.4.8中日
千葉 茂巨人1946.7.25阪神
呉波巨人1940.3.31南海

【まとめ】敗戦処理投手

敗戦処理投手という言葉をみると、よくないですが、チームへの貢献を考えると大きいのではないかと思っています。

そして何気ない大差の試合にも、選手のドラマがあるということです。

大差になったから「帰る」「見るのをやめる」ではなく、普通の試合では無くなったからこそ、人間らしいドラマが見れるかもしれません。

リリーフ投手は他にもさまざまなポジションがあり役割があります。【必見】リリーフ投手(中継ぎ、抑え)の種類と役割とは?でリリーフ投手についてまとめているのでよかったらご覧ください。

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