- 野球のセイバーメトリクスとは何ですか?
- セイバーメトリクスの指標一覧、論文の一覧、データが分かるサイトが知りたい
このような疑問を解決します。
記事の内容
- 野球のセイバーメトリクスとは何か?
- セイバーメトリクスが大切な理由と問題点
- 指標一覧と論文
本記事を読むと、セイバーメトリクスの概要と指標が一覧で分かる内容となっています。
記事が長くなるので、前半は「セイバーメトリクスって何?」という話をします。
記事の後半は指標ごとの説明をします。
それでは、本題に入ります。
セイバーメトリクスとは
セイバーメトリクスとは野球統計の専門家ビル・ジェームズによって1970年代に提唱されたもので、アメリカ野球学会の略称SABR(Society for American Baseball Research)と測定基準 (metrics) を組み合わせた造語です。
かんたんに言うと、野球のプレーを数値化して、選手の評価や球団の戦略を考える方法です。
野球には、さまざまな数値や指標がありますが、セイバーメトリクスはこれらの数値を客観的に分析しています。
難しい部分もあるけど、プレーを数値化して選手を評価する方法です。計算方法も難しいものから、かんたんなものまであります。
一例ですが、OPSは出塁率+長打率で分かるので、誰でもかんたんに分かる数値です。
このように分かりやすい数値から覚えると、いいですよ!
OPSについては野球のOPSの意味・計算方法・目安について超分かりやすく解説で分かりやすく解説しています。
現在では「全てのプレーが数値化されている」といっても、過言ではありません。
※正確性に疑問がつく、指標もあります。
大切な理由
野球は相手からなるべく多く、点をとったチームが勝ちます。また相手の点数を低く抑えると、勝ちやすくなります。
当たり前のことですが、得点は野球において最も重要な要素です。 しかし従来の防御率や打率、打点などは得点との関連が低いことが分かっています。
したがって従来の方法ではなく、違った数字で評価しようとうことです。
理由については、以下の記事をご覧ください。 李啓充 MLBコラム このことから「セイバーメトリクス」という、考え方ができました。
基本的な考え方
セイバーメトリクスの考え方をまとめると
- 得点を増やし、失点を減らすプレーを評価する
- その選手のチームへの貢献度を数値化
といったイメージです。
「プレーの印象ではなく、数字で評価しよう」ということです。
例えばダイビングキャッチは、ファインプレーですが単純に守備範囲が狭いだけかもしれません。
守備範囲が狭く、実は守備の下手な選手だったということも分かります。
したがって、しばしば年末の記者投票によるゴールデングラブ賞やベストナイン等は、セイバーメトリクスの数値と違うので問題になります。
ゴールデングラブ賞の問題点は»ゴールデングラブ賞とは?選考基準と問題点で解説しています。
アメリカメジャーリーグでは、「選手、監督の気持ちや経験」といった、数値化できないものまで、データ化しようとしています。
最新のセイバーメトリクスは»アストロボールをご覧ください。
批判的な人もいる
セイバーメトリクスはバント・盗塁、打率など従来の評価を否定するなど、しばしば野球の価値観を否定しています。
また野球経験のなかったビルジェームズが提唱していることもあり、当初は批判的に扱われました。
一般的に広く知られるようになった現在でも「野球は人間がプレーするもの」と思う人からは、受け入れられない風潮があります。
特に昭和に活躍したプロ野球選手は、セイバーメトリクスの考え方を受け入れることができません。
なぜなら自分の成績や野球観を否定することになるからです。
かなり広まってきた現代の野球中継でも、打率や防御率、勝ち数などが表示されますが、セイバーメトリクスで評価される出塁率や長打率はなかなか表示されません。
OPSなどはかんたんで分かりやすい数値なので、野球中継で流れてもいいのかなと個人的には思っています。
絶対ではない
よくセイバーメトリクスの観点から「この場面のバントは意味がない」「バントは必要ない」というような極端な意見も耳にします。しかしセイバーメトリクスは、過去の結果から導かれた数字です。
したがって条件が変われば数値も変わってきます。
例えば2021年のメジャーリーグでは、飛ばないボールが採用されていると聞きます。
この結果ホームラン数の低下により、バントを選択する場面が増えています。
すなわち野球をする条件が変わると、セイバーメトリクスの考え方が変わる場面もあります。
ですから、「○○の場面は必ずこのプレーをしないと損をする」ということではありません。
セイバーメトリクスは、野球を楽しむためのツールの一つと個人的には考えています。
論文
セイバーメトリクスはデータを集めて数値化します。ですので、論文なども多く存在します。
面白いところでは、93代首相である鳩山由紀夫氏も、セイバーメトリクスに関する論文を発表しています。
1979年に論文を発表していますが、メジャーですらセイバーが浸透してない時期です。今の姿からは想像できませんが、時代の先端を走っていたようです。
論文の詳しい内容は»野球ORをご覧ください。
その他にもたくさんの論文がありますので、気になる方はこちらから »セイバーメトリクスに関する論文
バント
プロ野球でバントをすると、有効性について議論がなされます。 セイバーメトリクスでバントは有効な戦術なのか、以下の記事で詳しく解説しています。
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理想の打順
スモールベースボールと言われる、日本古来の野球の打順
- アベレージヒッター
- 右打ちのうまいバント職人
- 長打力、打率の高い中距離打者
- 長打力のある打者(チャンスに強い)
- 率は低いが長打力がある
といった打順を、思い浮かべるかもしれません。
しかしセイバーメトリクスによる、高度な分析が進み「2番最強打者」論がメジャーリーグでは、一般的になりました。日本でも巨人やヤクルト、楽天などこのような戦術をとるチームが増えてきました。
このようになった理由は、この打順の方が多くの得点を取れると、分かったからです。 数値として答えが出ているから、2番市強打者理論になりました。
本
私自身もセイバーメトリクスについて、20冊ぐらいの本を読んできたので、おすすめの本を紹介します。
本を読んでからプロ野球の試合を見ると、違った野球の見方ができます。 以下で詳しく解説しています。
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セイバーメトリクス指標一覧
ここからは、セイバーメトリクスの指標について解説します。 長いので以下のジャンルごとに解説しています。
タップするとジャンルの先頭に飛びます
ちなみに新しい指標も増えているわけで、全部を掲載しているわけではありません。
以下にない指標は、こちらから»ESSENCE OF BSEBALL
【打撃編】セイバーメトリクス一覧
打率(Batting Averege)
=安打÷打数
・打数の中でヒットを打った割合を示した数値です。
・打撃の中で最も表示される回数の多い指標です。
しかしセイバーメトリクスでは、打率は四球の数が反映されない、長打の割合が分からないと言われます。すなわち得点との相関性が低く評価していない指標と言えます。
BA | |
非常に優秀 | .330 |
優秀 | .300 |
平均 | .270 |
問題あり | .230 |
かなり問題あり | .200 |
出塁率(On-base Percentage)
=(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
・攻撃で大切なことは、出塁しアウトにならないこと
・3アウトとられない限り攻撃を継続できる。
→得点のチャンスが増える
OBP | |
非常に優秀 | .400 |
優秀 | .365 |
平均 | .330 |
問題あり | .270 |
かなり問題あり | .230 |
現代野球で出塁率はかなり重要になっています。理由も含めて【必見】出塁率の目安はいくつ?計算方法やエラーの場合も紹介で詳しく解説しています。
長打率(Slugging Average)
=塁打÷打数
・打率が低くても、進塁を多く稼げるほうがよい
・得点を増やすためには単打より、長打(ホームラン、2塁打、3塁打)のほうが有効
SLG | |
非常に優秀 | .500 |
優秀 | .440 |
平均 | .380 |
問題あり | .320 |
かなり問題あり | .260 |
長打率は意味を勘違いしている方や、計算方法が複雑です。長打率は1.000を超える!?目安と計算方法を分かりやすく解説で詳しく解説しているのでご覧ください。
ISO・IsoP(Isolated Power)
=長打率ー打率
・純粋な長打力を表す
・単打でも数字が上がってしまう、長打率の欠点を補う指標
・全て単打なら数値は0になる
ISO | |
非常に優秀 | .280 |
優秀 | .220 |
平均 | .170 |
問題あり | .120 |
かなり問題あり | .080 |
sluggerより引用
IsoD(Isolated Discipline)
=出塁率-打率
・四死球の出塁を表す数値
・選球眼のよさを数値化
IsoD | |
一流 | 0.1 |
平均 | 0.06 |
問題あり | 0.04 |
OPS(On Base plus Slugging)
=出塁率+長打率
・出塁率と長打率を、同時に評価する
・出塁率と長打率をたした数値で「アウトにならない確率」と「進塁を効率よく稼ぐ」を評価する
・総合的な得点能力を表した指標
・シンプルな計算式ですが、精度の高い指標
OPS | |
非常に優秀 | 1.000 |
優秀 | .875 |
平均 | .750 |
問題あり | .675 |
かなり問題あり | .600 |
最も有名なセイバーメトリクス指標といっても過言ではありません。
野球のOPSの意味・計算方法・目安について超分かりやすく解説でもう少し詳しく解説しています。
RC(Runs Created)
【ベーシックバージョン】 =(安打+四球)×塁打÷(打数+四球)
【現在の求め方】 =出塁能力A×進塁能力B÷出塁機会CA=安打+四球+死球-盗塁死-併殺打 B= 塁打+0.26×(四球 + 死球)+0.53×(犠飛 + 犠打)+ 0.64×盗塁-0.03×三振 C=打数+四球+死球+犠飛+犠打
打者が創り出した総得点のことです。 RCが30ならそのバッターが、得点を30を作り出したことになります。
リードオフマンとパワーヒッターなど違うタイプの選手を比べることが可能です。
RC27(Runs Created per 27 outs)
=RC÷(打数-安打+盗塁死+犠打+犠飛+併殺打)×27
・RCを元に9人のスタメンを同じ選手にすると仮定
・その試合を行った場合、27個のアウトで平均何点とれるかを算出した指標
この数値が大きいとその選手は、得点能力に優れているとされる。 マイナスになることもある。
ボールゾーンスイング率(O-Swing%)
=ボールスイング率÷ボールゾーン投球数
・ボール球を振らないことによって、四球が増える
・打者の選球眼を評価する
・打率が低くても四球が多い選手は、得点を多く稼げる可能性がある
O-Swing% | |
非常に優秀 | 15% |
優秀 | 22% |
平均 | 30% |
問題あり | 37% |
かなり問題あり | 44% |
ストライクゾーンスイング率(Z-Swing%)
=ストライクゾーンスイング数 ÷ ストライクゾーン投球数
・ストライクゾーンの球をスイングした割合
・選球眼を表した指標
Z-Swing% | |
非常に優秀 | 80% |
優秀 | 73% |
平均 | 65% |
問題あり | 57% |
かなり問題あり | 50% |
wOBA(Weighted On Base Average)
={0.62×(四死球-敬遠)+0.65×死球+0.77×単打+0.81×失策出塁+1.08×二塁打+1.37×三塁打+1.07×本塁打}×wOBAscale÷打数+四球-敬遠+犠飛+死球)
・出塁率の発展系
・1打席あたりに、チームの得点にどれだけ貢献したかを示す
・単打、2塁打、3塁打、本塁打、四球、死球、エラー出塁なども含まれるため、OPSよりも的確に打撃での貢献を示す指標。
※数字、wOBAscale係数はシーズンごとに異なる。
wOBA | |
非常に優秀 | .400 |
優秀 | .360 |
平均 | .330 |
問題あり | .300 |
かなり問題あり | .280 |
sluggerより引用
wRAA(Weighted Runs Above Average)
=(wOBA -リーグ平均のwOBA) ÷ wOBAscale × 打席数
・wOBAの発展で、打席数も考慮にいれる
・平均的な打者に比べて「チームにもたらす得点の多さや少なさを比較できる」
wRAA | |
非常に優秀 | 30.0 |
優秀 | 15.0 |
平均 | 0.0 |
問題あり | -15.0 |
かなり問題あり | -30.0 |
wRC(Weighted Runs Created)
={(wOBA−リーグ平均wOBA)÷1.24+リーグ総得点÷リーグ総打席}×打席
・wOBAをもとに計算
・打席数に見込まれる得点の数
・数字が大きいほど、チームに多くの得点をもたらす
wRC | |
非常に優秀 | 120 |
優秀 | 90 |
平均 | 60 |
問題あり | 30 |
かなり問題あり | 0 |
wRC+
=100×{(wRAA÷打席)/(リーグ総得点÷リーグ総打席)+1}
・wRCとの違いは、リーグの平均的な打者に比べて、どのくらい優れているかを表す指標
※数値が160だと、平均打者に比べて60%多くの得点を作り出している。
wRC+ | |
非常に優秀 | 160 |
優秀 | 130 |
平均 | 100 |
問題あり | 80 |
かなり問題あり | 60 |
sluggerより引用
BB/K
=四球÷三振
・選球眼とミート率の高い選手を表す
・優秀な選手は、四球が選べて三振が少ない
BB/K | |
非常に優秀 | 1.50 |
優秀 | 1.30 |
平均 | 1.15 |
問題あり | 1.00 |
かなり問題あり | 0.80 |
sluggerより引用
OPS+
=100×(出塁率÷リーグ出塁率+長打率÷リーグ長打率-1)÷パークファクター補正
・OPSの要素に球場やリーグの特性を加味した指標
※パークファクターとは、リーグや球場の補正値
※平均が100でOPS+が150なら、50%高い得点能力を持っている
OPS+ | |
非常に優秀 | 160 |
優秀 | 130 |
平均 | 100 |
問題あり | 70 |
かなり問題あり | 40 |
K%
=三振÷打席数
・打席に占める三振の割合
・三振は打者の結果で、1番最悪な結果
k% | |
非常に優秀 | 10.0% |
優秀 | 15.0% |
平均 | 20.0% |
問題あり | 25.0% |
かなり問題あり | 30.0% |
sluggerより引用
BB%
=四球÷打席数
・打席に占める四球の割合
・数値が高いほど、選球眼が良く優秀な打者
BB% | |
非常に優秀 | 15.0% |
優秀 | 12.0% |
平均 | 8.0% |
問題あり | 6.0% |
かなり問題あり | 4.0% |
sluggerより引用
P/PA
=被投球数÷打席数
・1打席当たりの被投球数
・数値が高いほどカットの技術が高く、粘れる選
※多くの球数を投げさせるが、三振も増えるため一長一短
P/PA | |
非常に優秀 | 4.2 |
優秀 | 3.9 |
平均 | 3.6 |
問題あり | 3.3 |
かなり問題あり | 3 |
【走塁編】セイバーメトリクス
wSB
=盗塁 × runSB - 盗塁死 × runCS - lgwSB ×(単打 + 四球 + 死球 - 故意四球
・盗塁での貢献を得点ベースにしたもので、リーグ平均と比べてどれだけ多くの得点を生み出したかを示す
※runSB、runCS、lgwSBはシーズンによって変わる数値
wSB | |
非常に優秀 | 2.0 |
優秀 | 1.0 |
平均 | 0.2 |
問題あり | -0.4 |
かなり問題あり | -1.0 |
UBR
=足の速さ+走塁判断能力+運
・盗塁以外のベースランニングで、平均選手に比べて、どれだけ多くの得点を生み出したかを示す
※タッチアップやベースランニング、進塁等
UBR | |
非常に優秀 | 5.0 |
優秀 | 2.5 |
平均 | 0 |
問題あり | -2.5 |
かなり問題あり | -5.0 |
BsR
=wSB+UBR
・wSBとUBRを足した、総合的な走塁力を表す指標
BsR | |
非常に優秀 | 7.0 |
優秀 | 3.5 |
平均 | 0 |
問題あり | -3.5 |
かなり問題あり | -7.0 |
【投手編】セイバーメトリクス一覧
WHIP(Walks plus Hits per Innings Pitched)
=(与四球+被安打)÷イニング
・投手が1イニングあたりに、許した走者の数を示す
※死球、失策は含めない
・被安打の数にほとんど左右されるので、疑問の多い数値
WHIP | 評価 |
---|---|
1.00 | 素晴らしい |
1.10 | 非常に良い |
1.25 | 平均以上 |
1.32 | 平均 |
1.40 | 平均以下 |
1.50 | 悪い |
1.60 | 非常に悪い |
WHIPは問題の多い指標と言われています。
理由や意味は野球のWHIPとは?計算方法と読み方、目安を徹底解説で詳しく解説しています。
RSAA(Runs Saved Above Average)
RSAA=(リーグ失点率-失点率)÷9×投球回
同じリーグの平均的な投手に比べて、どのくらい失点を防いでいたかを表す指標。
例えばRSAAが10なら、平均的な投手より10点少なく抑えたことになります。
失点率がリーグ平均より悪い場合は、マイナスになる。 失点率は野手の守備力にも関係しているので、疑問の多い指標。
QS
・先発投手が6回以上を投げ、自責点を3点以下に抑えた時にカウント
・投手の安定感を表す
奪三振率(k/9)
=奪三振×9÷投球回 ・他の選手や運に左右されない投手の、純粋な能力
・ボールがフェアゾーンに飛ぶと、偶然ヒットになる確率が増える
※ポテンヒットや守備位置によるため
・投手の力だけで、アウトにする方法は三振しかない
・三振はもっとも安全なアウトの増やし方のため、この数値が高いと、優秀な投手
k/9 | |
非常に優秀 | 10.50 |
優秀 | 9.50 |
平均 | 8.50 |
問題あり | 6.50 |
かなり問題あり | 5.00 |
sluggerより引用
k%
=三振÷打席数
・「k/9」が9イニングであるのに対して、こちらは全打席における割合
k% | |
非常に優秀 | 35.0% |
優秀 | 27.0% |
平均 | 20.0% |
問題あり | 15.0% |
かなり問題あり | 10.0% |
sluggerより引用
与四球率(BB/9)
=与四球×9÷投球回
・ストライクをとる力(9イニングあたりの四球の数
・数値が低いほど、四球を与える確率が下がる
・四球が少ないと、打者が出塁する確率が下がり、得点を防ぐことができる
BB/9 | |
非常に優秀 | 1.50 |
優秀 | 2.25 |
平均 | 3.00 |
問題あり | 3.50 |
かなり問題あり | 4.00 |
sluggerより引用
BB%
=四球÷打席数
・BB/9が9イニングであるのに対して、こちらは全打席における割合
BB% | |
非常に優秀 | 4.0% |
優秀 | 5.5% |
平均 | 7.0% |
問題あり | 8.5% |
かなり問題あり | 10.0% |
sluggerより引用
K/BB
=奪三振÷与四死球
・与四球に対する奪三振の比率(ストライクゾーンで勝負できる)
・奪三振が多く与四死球が少ないことを示し、投手としての優秀さを表す
※被本塁打が含まれていないので、疑問も
K/BB | |
非常に優秀 | 5.0 |
優秀 | 4.0 |
平均 | 2.5 |
問題あり | 1.5 |
かなり問題あり | 1.0 |
被本塁打率(HR/9)
=被本塁打×9÷投球回
・ホームランは、投手にとって1番悪い結果
・この指標は、9イニングあたりの被本塁打の数
HR/9 | |
非常に優秀 | 0.2 |
優秀 | 1.5 |
平均 | 2.8 |
問題あり | 4.1 |
かなり問題あり | 5.4 |
ゴロ割合
=ゴロの打球÷全打球
・ゴロは長打になる確率が低く、ゴロが多い投手は、得点を低く抑えられる
・長打を打たれにくい、ゴロボール投手
ゴロ割合 | |
非常に優秀 | 60% |
優秀 | 52% |
平均 | 45% |
問題あり | 38% |
かなり問題あり | 31% |
BABIP(Batting Average on Balls In Play)
=(安打ー被本塁打)÷(打数ー奪三振ー被本塁打+被犠飛
・フィールド内に富んだ打球が、「ヒット」か「アウト」になるかは「運の要素」や「球場の形状」が大きい
・打球がヒットになる確率は前に飛ぶ以上、投手の力が及ばない範囲で占められている
※ポテンヒットや守備位置によって、「アウト」「セーフ」が変わるため
BABIP | |
非常に優秀 | 2.0 |
優秀 | 2.5 |
平均 | 3.0 |
問題あり | 3.5 |
かなり問題あり | 4.0 |
DIPS(Defense Independent Pitching Stats)
守備の要素を無くし、投手を独立に評価した指標
ホームラン以外のフェアゾーンに飛んだ打球は、野手の守備位置や守備能力で変わるので、投手の能力とは関係ない。
したがって、投手の純粋な能力とそれ以外を分けて評価しようという考え方です。BABIPとFIPに続きます。
FIP(Fielding Independent Pitching)
={被本塁打×13+(与四球+与死球ー敬遠)×3-奪三振×2}÷投球回+リーグごとの補正値
・投手の真の防御率を表す指標 ・投手の責任範囲を奪三振、与四死球(敬遠以外)、被本塁打の3つに限定することにより、より純粋な投手の能力を評価している
※前述のBABIP(フェアグランドに飛ぶと、ヒットになる確率が増えるため)より
FIP | |
非常に優秀 | 2.0 |
優秀 | 3.0 |
平均 | 4.0 |
問題あり | 5.0 |
かなり問題あり | 6.0 |
【守備編】セイバーメトリクス一覧
DER(Defense Efficiency Ratio)
=(打席ー被安打ー与四球ー与死球ー奪三振ー失策)÷(打席数ー被本塁打ー与四球ー与死球ー奪三振)
・チームの守備力を表す指標
・グランド内に飛んだ打球のうち、どの程度をアウトにしているか表した指標
DER | |
非常に優秀 | .700 |
優秀 | .687 |
平均 | .675 |
問題あり | .662 |
かなり問題あり | .650 |
RF(Range Factor)
=9×(刺殺+補殺)÷守備イニング 9回当たりのアウトに関与していた数。数値が高いほど守備範囲が広く、守備力の高い選手とされます。
例えばRFが4.50のA選手がいたとします。別チームB選手のRFが3.5なら、前者のA選手が優秀な守備力を持った選手と言えます。
RRF(Relative Range Factor)
RFの改良版です。 RFでは投手の奪三振率、ゴロ・フライ傾向によりかたよってしまう弱点を補正した数値です。
同じ守備位置のリーグ平均選手に比べて何倍のアウトを奪ったか、平均の選手に比べていくつアウトを多く奪ったかを表す指標です。
DRS(守備防御点)
=画像による測定。打球の難易度を分析し算出
・守備力を表す指標
・その選手が平均の選手よりどのくらい、守備が優れているかを表す
DRSはUZRとほぼ同じ意味ですが、算出機関と計算方法に違いがあります。
※プラス7だと平均選手より7点防いだということ。
DRS | |
非常に優秀 | 15 |
優秀 | 7 |
平均 | 0 |
問題あり | ー7 |
かなり問題あり | -15 |
UZR(Ultimate Zone Rating)
=守備範囲+失策阻止+併殺奪取+肩力
・守備で失点をどれだけ防いだかを測る
・同じポジションの平均的な選手に比べて、何点分の失点を防いだかを表す
UZR | |
非常に優秀 | 15 |
優秀 | 7.5 |
平均 | 0 |
問題あり | -7.5 |
かなり問題あり | ー15 |
【捕手編】セイバーメトリクス一覧
RszC
・フレーミング(ストライクゾーンぎりぎりの球をストライクにする技術)の能力を数値化した指標
・捕手のフレーミングのみ評価した指標
RszC | |
非常に優秀 | 10 |
優秀 | 5 |
平均 | 0 |
問題あり | -5 |
かなり問題あり | -10 |
フレーミングはかなり重要な指標です。
意味や受け取り方が人によって違うのですが、野球におけるフレーミングとミットずらしは違う!【動画、本も紹介】で本ブログなりの答えを解説しています。
【全ての選手】セイバーメトリクス一覧
WAR(Wins Above Replacement)
=攻撃指標、投手指標、守備指標から算出
・全ての選手を比べ、シーズンの活躍を数値化する
・控え選手に比べて、その選手がどのくらいチームの勝利に貢献したかを表すデータ
WARについては複雑なので、計算方法や詳しい目安は【必見】野球のWARについて超分かりやすく解説【目安と計算方法は?】で解説しています。
WAR | |
MVP級 | 8,0 |
オールスター級 | 5.0 |
レギュラー級 | 2.0 |
代替レベル級 | 0.0 |
sluggerより引用
得点期待値(Run Expectancy)
・それぞれの局面から平均でどれだけの得点を見込めるかを、過去のデータから導き出したもの
・数値は年によって変わるが、おおむねこんな感じ
・【例】「0アウト走者なし」なら0,480の得点が見込まれるといった数値
※右にスクロールできます
走者なし | 一塁 | 二塁 | 三塁 | 一二塁 | 一三塁 | ニ三塁 | 満塁 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0アウト | 0.480 | 0.851 | 1.075 | 1.392 | 1.459 | 1.757 | 2.009 | 2.253 |
1アウト | 0.258 | 0.523 | 0.711 | 0.953 | 0.940 | 1.185 | 1.375 | 1.594 |
2アウト | 0.099 | 0.226 | 0.333 | 0.383 | 0.454 | 0.492 | 0.591 | 0.749 |
あくまでも平均的な打者や投手が投げている場面のデータになるので、投手や打者が変わると若干数値が変わります。
得点確率表
・それぞれの局面で、1点以上入る確率を表した表です。
・過去のデータから算出された表
・【例】無死三塁なら、約78.9%の確率で点が入るといったデータ
ピタゴラス勝率(Pythagorean winning percentage)
=得点の二乗÷(得点の二乗+失点の二乗) 奇妙な計算式ですが、チームの得点と失点から見込まれる勝率を計算する式です。
ピタゴラス勝率は、実際の勝率と相関関係があると言われていて、現在のチームの得失点からどのくらい勝利できるかを予想することが可能です。
計算方法が「ピタゴラスの定理」に似ていることからその名前がついています。
パークファクター(Park Factors・PF)
球場の条件によって、成績が変わるのを数値化したもの。
例えば、フェンスの高さ、球場の広さ、気温や湿度によるボールの飛びやすさなどを補正するための数値。
異なる環境でプレーする選手を評価するために行われます。
得点のパークファクターが1.2なら同じリーグの平均的な球場に比べて、1.2倍得点が入りやすい球場ということです。
マイナスなら得点が入りづらいことになります。
数値はデータ会社や個人が算出。
正直、正しいのかは不明。
マネーボール
マネ―ボールは数値ではありませんが、マイケル・ルイスが書いた小説です。
資金の少ないオークランド・アスレチックスがセイバーメトリクスを用いて躍進していく様子を描いた小説です。
事実を元に描かれた小説で、セイバーメトリクスの発達に貢献した人物や、セイバーメトリクスのおかげで注目された選手が描かれています。
セイバーメトリクスに関連する本は多くあります。以下でまとめているので、よかったらご覧ください。
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セイバーメトリクスを知ってより野球を楽しもう
セイバーメトリクスはプレーを数値化して、チームの得点にどれだけ貢献したかを測る指標です。
難しい部分も多いですが、シンプルでかんたんな指標もあります。 まずはシンプルな指標から覚えていくのがイイですね。
セイバーメトリクスが分かると、野球の楽しみが増えますよ。
データと選手の気持ち等を考えながら野球を見ると、新たな魅力がみつかるかもしれません。
セイバーメトリクス以外の野球に関する用語や記録は【保存版】野球初心者にもわかりやすい野球用語一覧でまとめています。