- チームの練習時間が長くて、困っています
- ほんとに今の練習で、上手くなるのか疑問です
- もっと短い時間の練習がしたい
- 長時間走らされますけど、効果があるのか知りたい
いきなり結論ですが、長時間の練習は無意味です。むしろ野球が下手になる可能性もあります。なぜこのようになるのか、科学的根拠やデータで説明していきます。
本記事の内容
- なぜ野球の練習は長いのか
- 練習時間が長いと、野球が下手になる理由
- 野球の練習時間の目安
- プロ野球の練習時間
- 練習メニュー
- やりたくない練習をやらない方法
科学的な根拠、データや他のサイト、自身の経験を含めて解説していきます。
またやりたくない練習をやらされた時の、解決策も紹介します。
それでは本題に入ります。
【結論】野球の練習時間は長い
どうして練習が長いと、いけないのでしょうか?
これには、主に3つの理由があります。以下のとおりです。
- ガイドラインとして、決められている
- 筋肉が野球に向いていない、筋肉になる(野球が下手になる)
- 休養時間がなくなる
詳しく説明します。
①ガイドラインとして決められている
まず1つ目です。スポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」というものが発表されています。
高校生の部活動についてです。
ガイドラインを要約すると
- 週当たりの休養日を平日1日
- 土日のどちらか1日の週2日と設定し、活動時間も長くとも平日2時間程度
- 学校の休業日は3時間程度
- 長期休み中は、他の活動も行うため長期の休養時間を設ける
となっています。詳しい内容は笹川スポーツ財団をご覧ください。
高校野球の部活動ですら、2、3時間を目安に練習となっています。ですから「少年野球で9時から17時まで練習する」は長いし、ガイドラインにも違反しています。
ただ法律的に違反しているかは、専門家ではないので分かりません。
小学生のガイドライン
練習日数と時間については、小学生では週 3 日以内、1 日 2 時間をこえないこと。
中学生・高校生に おいては。週 1 日以上の休養日をとること。
個々の選手の成長,体力と技術に応じた練習量と内容が望ましい
日本臨床スポーツ医学会学術委員会より引用
このように小学生もガイドラインで決められています。
少年野球で、半日以上練習をすることは、怪我の確率が増えると共に、子供の健康上よろしくありません。
2つ目の理由です
②野球に向いていない筋肉になる
長時間トレーニングをすることで、筋繊維が速筋から遅筋に変化します。練習しているのに、野球が下手になる可能性もあるわけです。
ちなみに速筋や遅筋については速筋の鍛え方とは?【筋繊維を測って効率よくトレーニングする方法】でもう少し詳しく解説しています。
そして長時間の練習は、休養時間も無くなります。
③休養時間が無くなる
休養時間が無くなることで、栄養を摂取する時間や栄養が足りなくなります。実は野球の上達に欠かせないのですが、ここを軽視している指導者は多いです。
野球選手の休養や栄養、食事については野球選手の食事メニューの考え方と献立の作り方【全ての悩みを解決します】でまとめているので、合わせてご覧ください。
野球の練習時間は短くても成功できる
結果からみると分かりますが、練習の短い高校からも、プロ野球選手が誕生しています。
東京ですと、都立高校の平日の練習時間は、約2時間程度です。
最近注目されている、広島県の武田高校は、平日の練習時間が50分です。
都立高校
都立高校の平日の練習時間は、2時間程度です。
しかし複数のプロ野球選手や、社会人野球選手が誕生しています。
- 鈴木優投手:オリックス(雪谷高校)
- 石川柊太投手:ソフトバンク(総合工科高校)
- 伊藤優輔投手:巨人4位指名(小山台高校)
- 関根智輝投手:慶応大学(城東高校)
短時間の練習でも高いレベルで活躍しています。練習時間が短くても、プロレベルまでいけることが分かります。
武田高校
昨年、谷岡颯太投手がオリックスバファローズから育成指名を受けました。
2020年も久保田大斗投手が、ドラフト候補になっています。
結果からみると、短い練習時間でもプロ野球選手、アマチュアトップクラスの選手になれることが分かります。
これをいうと「その選手に才能があったからだよ」という人がいます。
もちろん才能があったことを、否定するつもりは、ありません。
しかし、練習時間の短い高校から、プロ野球選手が出ていることも事実です。
短い練習時間だからこそ、「プロ野球選手になれた」と考えることもできます。
アメリカの練習時間
アメリカでの練習時間も、かなり少ない時間になっています。
NCAA(全米大学体育協会)の規則では、練習時間は週に20時間です。
複数の競技を行っている選手でもトータルで20時間です。そしてメジャーリーガーになった選手でも、週に4時間程度しか練習をしていません。
これを才能と思うのではなく、「短い時間だからこそうまくなれた」「短い時間で上手くなる方法を見つける」といった、頭を使ってトレーニングを行うことも大切です。
長時間練習がいかにいけない練習というのが分かったところで、なぜ長時間練習は減らないのでしょうか?
野球の長時間練習が減らない理由
理由は主に3点と考えています。
- プロ野球選手が長い時間練習しているから
- 長時間練習から名選手が生まれた
- 練習時間を変更する勇気がない
詳しく説明します。
プロ野球選手が長い時間練習しているから
プロ野球の春季キャンプの練習時間は、地獄の〇〇合宿のように10時間を超えるような練習が行われます。
※全てではありませんが。
これを見てプロ野球選手が長い時間練習しているので、「アマチュアなら同じか、もっと長い時間練習しないといけない」となります。
プロ野球ですら、長時間練習に賛否があります。ですが、変わらないですよね。
ちなみにメジャーリーグのキャンプの練習時間は、3時間程度と言われています。そしてメニューも各自ばらばらです。
次をみていきます。
長時間練習から名選手が生まれた
結果的に指導者や、選手の成功体験の押し付けです。
・自分は、この練習で上手くいった
・この指導をしたから、有名選手(プロや社会人)になった
だから指導者は、「自分が成功した練習をやらせよう」となるわけです。
ここで考えてほしいのは、成功のために何人の選手が犠牲になっているかです。仮に100人の選手がいてプロ野球選手になったのは1人で、99人が普通の選手で終わったかもしれません。下手をしたら何十人も怪我をしているかも。
それでも一人のプロ野球選手を輩出したということは、強烈な成功体験になります。
学べない指導者は、いつまでたっても、過去の成功体験にすがります。これの犠牲になった選手は、過去に星の数ほどいます。
個人的に思うのは他人事ですが、長時間練習をするぐらいなら、適切な指導ができるチームに移るべきだと思います。チームが強くても犠牲になるのは、個人です。
練習時間を変更する勇気がない
親やOBが「野球の練習は、長時間が当たり前」と思っていると、なかなか変えることができません。
練習内容を変えてチームの成績が落ちたら、批判されます。それなら厳しい練習をして「力が及ばなかった」となったほうが、親やOBなどの評価はよさそうです。
結局、指導者が「変わる勇気を持てるか」にかかっています。
野球の長時間練習をしたくない時の対処法
今まで長時間練習について、ダメな理由や減らない理由をみてきました。ここからは実際にやりたくない長時間練習を、回避する方法です。
- 指導者と話す
- さぼる
- チームを変える
詳しくみていきます。
①指導者と話す
指導者と話せる人は、話しましょう。
「話せない」人は②をみてください。
話す際は、科学的な根拠と気持ちが大切です。
このブログでもいいですし、ダルビッシュ選手のツイートや筒香選手のニュースのコメントを見せるというのも効果的かなと思います。
長時間練習や指導者の罵声について、反対の意見を大きな声で主張しているのは、この2人かなと思っています。
あとは「自分がどれだけ真剣に話せるか」にかかっています。
②さぼる
誰も見ていない時は、さぼりましょう。「さぼったらいけない」なんて思わなくていいです。多分このブログを読んだ人は、ここまですごい頑張ってきた人だと思います。
毎日3時間以上練習している人は、こんな感じの考えでいいです。
さぼり=うまくなる
と考えてさぼりましょう。
ただ他の人がいない時です。
③チームを変える
厳しいですが、ここまでやれることをやってきたので、これ以上そのチームでやれることはありません。
大変ですがチームを変えましょう。嫌々やっていると、チームの迷惑やケガにつながります。
やめることは、負けではありません。
次への一歩になります。
遠回りと思っても、実は近道です。
そして現代は、いろいろな野球の選択肢があります。
ちと他人事のようですが、プロ野球選手もさまざまな経歴の選手がいるように多様性が出ています。いやいや練習するぐらいなら、環境が悪くても楽しいチームの方が野球を楽しく感じれます。
【まとめ】野球の長時間練習について
最後にかんたんにまとめます。
野球の長時間練習がいけない理由は以下です。
- ガイドラインとして、決められている
- 筋肉が野球に向いていない、筋肉になる(野球が下手になる)
- 休養時間がなくなる
特に長時間練習をすることで、「下手になる可能性がある」、「上達が遅れる」といった内容もあるので、ぜひ改善してほしいです。練習時間の目安も紹介しましたが、2時間前後でプロ野球選手になれる可能性もあります。
練習量よりも質を見直しましょう。
練習の質を選べない選手は、チームをやめることも選択肢の一つだと思います。それぐらい重要な内容です。
ぜひ本記事を参考にして、野球生活がよくなることを願っています。
野球が上達しなくてなやんでいるなら監督・コーチが教えてくれない野球の上手くなる方法を徹底解説も合わせてご覧ください。