- 野球におけるフレーミングとはそもそも何?
- フレーミングとミットずらしの違いが知りたい
- フレーミングの効果が知りたい
- フレーミングってずるくないですか?
- なぜフレーミングが重要なのか知りたい
- 現在のプロ野球のフレーミングランキングが知りたい
このような悩みを解決していきます。
本記事の内容
- 野球におけるフレーミングとは
- フレーミングとミットずらしの違い
- フレーミングにはどんな効果がある(なぜ重要なのか)
- 2020年、引退選手、MLBでフレーミングの上手い選手を紹介
それではさっそく本題にはいっていきます。
野球のフレーミングとは(意味)
・ストライクのボールを、審判にストライクとコールさせる
・際どいボールをストライクとコールさせる技術のことです。
かんたんに説明すると、キャッチング技術の上手さを表す指標です。
そして英語では、frame=だますと訳されます。
したがってフレーミング=審判をだます能力と言うことになります。
言葉は悪いですが、人間が判断する以上、際どいボールはストライクにもなるし、ボールにもなるということです。
MLB(メジャーリーグ)では、全ての捕手のキャッチング(フレーミング)の上手さを機械で測定し数値化、公表されています。
コースごとにストライクと審判にコールさせた割合を数値化し、総合的なフレーミング能力をランキング化しています。
フレーミングは、「ボール球をストライクにさせる技術ではない」といった意見もありますが、実際のメジャーリーグのデータでは、ボール球をストライクとコールさせた数値も発表されています。
ビタ止めとの違い
フレーミングは、ビタ止めする技術と言われますが、以下の動画を見てもらうと分かりやすいです。
以下はダルビッシュ投手が絶賛しているドジャースのオースティン・バーンズのフレーミングです。
バーンズすごいですよね? 今まで受けてもらったキャッチャーでダントツにうまかったです!
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) February 2, 2019
キャッチング(フレーミング)というと「ビタ止め」という言葉がよく使われています。
「ビタ止め」が素晴らしい、「ミットを動かすな」という指導もよく目にします。
しかし動画を見るとミットを体に引きつけながら動かし、ストライクゾーンにミットを持ってくるイメージだということがわかります。(コースによって変わりますが。)
機械のようにミットを動かしています。
ビタ止めに見えますが、どんな選手でも微妙にミットが動きます。
ミットずらしとの違い
データから推測するとミットずらしとフレーミングは、言葉の違いだけで行為自体は同じものと認識しています。
先ほどの動画の通り、ミットはずらさないとボールはとれません。
したがってフレーミング=ミットずらしとも言えます。
そして、審判にそのボールをどう認識してもらうかが大切です。
際どいボールをストライク=うまいフレーミング技術(うまいミットずらし)
際どいボールをボール=下手なフレーミング技術(下手なミットずらし)
そろそろキャッチングの新しい常識として、ミットは動かしてとるものと認識する必要があります。
審判が際どい球をボールと判定したらキャッチング(フレーミング)が悪いのです。
「ミットずらし」=悪みたいな時代は終わりつつあります。
ミットをずらしてとる理由
このことについては、ダルビッシュ投手と、raniさんの対談で次のように述べられています。
※raniさんとは、ダルビッシュ投手が一目置く、捕手に詳しい最強の素人。
(マウンドの)上から落ちてくるボールを、ただ止めようとすると負けてミットが流れるんですよ。動かそうという意識がないと難しい
引用元 REAL SPORTS
そもそも150~140キロの動く球を、ミットを動かさずにとることはできません。
「どうせ動くなら、あえて動かしてとってしまおう」ということです。
またビタ止めしたボール球は、ボール球です。
審判がストライクとコールすることはありません。
「ミットを動かしながらストライクゾーンにもってくる」ということですね。
フレーミングはずるい・反則
以前からフレーミングで論争になるのが、以下です。
「ミットを動かすのはよくない」
「フレーミングは反則・ずるい」
「国際試合でミットを動かすと、審判に怒られる」
「ミットを動かすと審判の印象が悪くなり、際どい球をストライクとコールされないのでは?」
と思う方が多いかもしれません。
実際元プロ野球審判の方が、以下のように話しています。
単刀直入にいうと「フレーミング技術」というのはやれば、明らかにストライクゾーンは狭くなってしまう。なぜなら審判員は、体やミットを動かす行為に関してはほぼ全てわかるのだ。
引用 スポーツブル
このようにミットずらしとなると、審判の印象が悪くなります。
これに対しては、先ほど話したようにまずミットを動かさないとボールはとれません。
そして最も大切なことは審判の印象を悪くせずに、ミットを動かすということになります。
「ミットを動かすと余計、印象が悪くなってボールが増える」という方もいるかもしれませんが、実際のデータを見ると、明らかに捕手によってボールが増えたり、ストライクが増えたりしています。
例えば2020年、メジャーリーグのフレーミングランキング2位のJT・リアルミュートと同じフィリーズの2番手捕手アンドリュー・ナップを比べると、同じチームの投手のボールを受けているのにフレーミング成績が大きく異なります。
※ボールを受けた回数が違うので、割合の成績になります。
このことからも、フレーミング(ミットずらし)という技術があることが分かります。
捕手のキャッチング技術が上がったことにより、ミット移動が審判には分かりずらくなっていると推測します。
審判からしてみると、騙されていることすら分からないのかもしれません。
捕球姿勢
姿勢をみると膝をついたり少し横を向いてみたり、日本の常識的なキャッチャーの取りかたと違います。
このようにして審判にストライクとコールさせるようにしています。
実際MLBでは、フレーミング専属のコーチがいたりします。
日本ではまだまだフレーミングを否定的にとらえる人も多いですが、実際取り入れなければ、時代から遅れていくと思って間違いないでしょう。
審判
そもそも審判の印象で、ストライクゾーンが変わるということはおかしいことです。
そして最近はデータの進歩により、審判の考え方も変わってきているように感じます。
フレーミングの有無に関わらず正しいジャッジをしないと、動画やSNS、データですぐにばれます。
またメジャーリーグではロボットによる、ストライク判定を導入(マイナーは導入)しようとしています。
このことからも審判は、フレーミングに関係なくボールに対して正しくジャッジすることが、存在意義を高めるために大切です。
フレーミングが大事な理由と効果
結論 試合において圧倒的な回数の多さです。
説明しますとダルビッシュ選手とraniさんの対談でこのようにのべられています。
内野手の守備機会って1シーズンでせいぜい数百回、MLBだと年間で500回、600回ぐらいです。でも「フレーミング機会」って一番多い選手で8000回ぐらいあるんですよ。ブロッキングは5000回ぐらい。
全てのボールがストライクではないですが、際どいボールの半分ストライクになるだけで投手の成績がよくなるのは、誰でも分かりますよね。
効果と具体例
試合をみていて
- 際どいボールをボールと判定後、ホームラン。ヒット。
- 際どいボールをボールと判定後、四球で歩かせ、次打者にホームラン。
このような状況をよく見ませんか?
ストライク、ボールの判定がいかに得点に関わっているか分かると思います。
参考程度ですが、ボールがストライクになるだけで、得点に対してー0,1点ほどの価値があるといわれています。
盗塁阻止(肩)とのプレー回数比較
盗塁をさすのは、1試合で数回程度です。
年間にしても多くて100回程度です。
実際そんなにありませんが。
肩の強さよりフレーミングの方が、大きなウエイトをしめていることが分かります。
だからといって「肩が弱くてもいい」ではないです。
あくまで割合です。
ちなみにキャッチャーの試合での役割や、向いている性格などは野球における捕手(キャッチャー)の役割とは?【向いている性格、能力は?】でまとめています。
おすすめの本
ビッグデータ・ベースボールという本にはこのようにのっています。
※ビッグデータベースボールとは、野球データの解説書
2011年にはピッチフレーミングを通じて、1シーズンあたり15点から30点の失点を防いでいた優秀な捕手たちがいた一方で、1シーズンあたり約15点を失っている計算になる捕手もいたという。
また5年間でフレーミングにより70点の失点を防いでいた捕手がいた一方、まずいミットさばきで65点を失った捕手がいるという。
5年間で135点の違いが生じる。
すごい数字ですね。
フレーミングの大切さが分かると思います。
ビッグデータベースボールを読むと、より詳細なことや選手名が分かります。
トラヴィス・ソーチック/桑田健 KADOKAWA 2016年03月16日頃
プロ野球、MLB、過去の選手のフレーミングランキング
日本の場合、具体的な数値は公表されていません。
公表されているデータは、データ会社が独自に算出したものです。
動画は多数あるので、フレーミングの上手い選手が分かります。
ただ数値が分からない分、主観が強くなる印象です。
データ会社の情報をみると、選手によってコースごとのストライク率が変わるので、フレーミングの得意なコースがあるのが分かります。
データ会社が数値を公開していますので、気になる方は調べてみてください。
なのでネット情報でまとめた、ランキングを発表します。
ほぼ主観なので参考程度でお願いします。
※2020現在
プロ野球
- 坂本誠志郎
- 木下拓哉
- 戸柱恭孝
- 小林誠司
- 田村龍弘
- 梅野隆太郎
ネット、Twitter界隈で評価が高いのは坂本誠志郎選手ですね。
ダルビッシュ選手やraniさんが絶賛しています。
他にも中日の木下拓哉捕手のフレーミングも、かなり評判が高いですね。
坂本誠志郎
正直バッティングはイマイチな感じもありますが、坂本選手のフレーミングは、かなり評価が高いです。失点を防ぐ意味では、かなりの貢献度があります。
また本人が意識していることは、「肘でミットを動かす」ということらしいです。
基本的にフレーミングは、ボールゾーンからストライクゾーンにミットを動かします。その際に肘を意識して完成度の高いフレーミングを行っています。
木下拓哉
今後日本のフレーミングを、引っ張っていくほどの技術を持っています。
日本人でフレーミングのうまい選手の動画が見たいと思ったら、木下選手で間違いないと思います。
例えば2020年のフレーミングランキングでは、他の選手に比べると圧倒的な成績を残しています。捕手の場合は盗塁阻止など、さまざまな能力が求められますが他の成績が悪くても、フレーミングだけでトップ評価の捕手になっています。
中日の投手陣の成績がいいのは、木下捕手のフレーミング能力のおかげと言う人もいるぐらいです。
逆に甲斐拓也捕手は、肩が強く総合評価は高いものの、フレーミングの評価は低くなっています。
戸柱恭孝
見よ!これが球界屈指のフレーミング技術‼️#戸柱恭孝 選手#フレーミング#baystars @10toba pic.twitter.com/ZIXh6hqGEc
— 横浜DeNAベイスターズ (@ydb_yokohama) February 9, 2021
データ会社のデータによると、戸柱捕手は外角低めのフレーミングがうまいとされています。
テレビやネットで試合を見る機会がある場合は、外角低めに注目してみると面白いかもしれません。
過去の選手
そもそもフレーミングという言葉が存在していなかったので、数値を測る指標がありません。
個人の主観ですが、古田敦也選手はうまかったといわれています。
古臭さは感じますが、当時としては最高峰のキャッチング(フレーミング)ではないでしょうか。
MLB(メジャーリーグ)
MLB(メジャーリーグ)でフレーミングが上手いといわれている選手
- タイラー・フラワーズ
- オースティン・バーンズ
- ロベルト・ペレス
- オースティン・ヘッジス
- ヤスマニ・グランダル
あたりです。
もっといますがとりあえず。
数字でランキング化されているので分かりやすいです。
現在のランキング≫Baseball Savant
昨年のランキング≫Baseball Prospectus
フレーミングのまとめ
フレーミングとは
- ストライク球をストライク
- 際どいボール球をストライク
と審判にコールさせる技術のことです。
- 高い技術がないと審判のイメージが悪くなる
- フレーミングが試合内容に大きく影響している
2020年シーズンからマイナ―リーグで、機械によるストライク判定を行う予定でした。
これによりフレーミング技術が必要なくなるのは、賛否両論ありそうです。
個人的には「反対?」と思いますが、皆さんは「どう思いますか?」
またブロッキングや肩の強さもキャッチャーの大切な要素ですから、全てをまとめた評価が大切です。
野球ライフの参考になったらさいわいです。
野球の守備については、一人でできる野球の守備練習7選!【家・屋外・内野・外野】でまとめいるのでよかったらご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。